フツーの日々のありがたさ。


連日インドの新コロナウィルスのニュースがすごいことになっている。

 

北インドのラジャスタン州の州都、ジャイプールは、

世界的に知られている天然石のマーケット。

私も、そこで石を仕入れてジュエリーを制作している。

 

2019年の12月以来、ジャイプールには戻っていない。

インドのロックダウンが始まった2020年の3月。

私は南インドのゴアにいた。

 

ジャイプールとゴアは、ざっと1200km以上離れている。

4月の後半、ゴアが暑くなってきて、

人も少なくなってくる時期に

列車で27時間かけてジャイプールに移動するのが

いつものパターンだった。

 

そして、去年から、「いつものパターン」が世界的に不可能になった。

 

今年になって、感染状況が落ち着いたかのように見えたインドは、

ここ1ヶ月の急展開で大騒ぎになっている。

 

地域別で差はあるものの、

行動規制なく、自由に動ける地域はないと思っていい。

 

ジャイプールのロックダウンも月末まで延長された。

なかよしの石屋さんが、家族全員コロナ感染と聞いて慌てて電話した。

郊外の結婚式で、10人くらい感染したらしい。

結婚式!この時期に!

だって神様が決めた日なのだ、集わないわけにはいかないのだ。

インド人に集うなというのは、ほんとに難しい。責められない。ああ。

 

感染が分かって2週間、だいぶよくなってきたと言っていた。

「嗅覚?戻ってきたよ、1%くらい!」

と嬉しそうに言っていた。

コロナの「軽症」ってかなり辛そうだ。

 

どうやら病院のベッドがないのは事実で

酸素が足りないのも事実で

コロナ感染は全く珍しいことではない。

彼の、ムンバイの親戚も35歳で亡くなってしまったそうだ。

若い人の感染が増えているのをとても気にしていた。

きっとインドのテレビは

日本よりもセンセーショナルなニュースのオンパレードだろうな。

 

休業補償なんてない。

日本の政府がいいとはこれっぽっちも言えませんが、

インド政府が、行き当たりばったり「なんちゃってコロナ収束宣言」

しちゃって、もしものための用意を全くしていなかった罪は重い。

ジャイプールなんて、朝10時以降はガソリンスタンドも閉まっているそうだ。

コロナで死んじゃうか貧困で死んじゃうか。

 

ネパールも残念なことにインドに続いている。

ネパールのロックダウンも月末まで延長され、国際線もストップしている。

今は午前中の必要最低限の買い物以外は外出禁止。

そもそもが医療崩壊しているようなもんなのはインドもネパールも同じだけど

インドや中国の物流に頼らなければ生きられないネパールは

医療の逼迫はもう大変なことになっていて

私がネパールに行けるか行けないかどころではなくなっている。

 

例年は、今頃は地味にカトマンズの部屋にこもって

ごちゃごちゃ石たちを広げて、

時にはぶつぶつ石に話しかけながら

黙々とデザインする日々。

 

ものづくりって、地味なのだ。

そして、そのごちゃごちゃしている中での

地味な時間を私はとても愛していたんだなあと

今更ながら思う。

 

私の仕事は、リモート制作ができないので

もどかしいことこの上ない。

 

でも、作りためていたものや、インドから送ってもらった前のオーダーで

今年のShanti Riotシーズンは、

なんとか新たなコレクション展開ができそうです。

 

インドやネパールに戻った時に

いつもの人たちにきちんと仕事を供給できるよう

私はこっちでできることをやらなきゃね。

 

現実から目をそらさず、そしてできることにフォーカスする

という修行が続く。私だけじゃないもんね。

 

みんな、元気でいてよね。